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キリノさんの電子書籍の紹介です。
・作品名 クレセントムーンに想いをのせて 〜つれないカレに恋してる
・作者名 桐野りの
・イラストレータ えだじまさくら
・発売日 2016年7月11日
・販売価格 324円(税込)
・購入方法 Amazonkindleなど各電子書籍配信サイト
・出版社 夢中文庫
・内容
あらすじ
「逃げるとこなんてどこにもないぞ」地上100メートルの密室の中、男は不敵な笑みを浮かべ白い太腿に手を伸ばす……。テーマパークのプレオープンにやってきた女子大生月香。総合デザインを担当した幼馴染の涼と5年ぶりに会いテンションが上がる月香だが、なぜか涼は不機嫌で二人はちょっとしたことで言い争いになってしまう。がっかりして帰ろうとする月香を涼は無理やり観覧車に乗せて意外な行為をしかけてくる。ずっと彼に恋してた。でも彼の気持ちがわからない……! 長い片想いは報われるのか……? 謎めいたメールにこめられた意味は? 美しい三日月と連なる星が導く、鈍感女子とちょっぴり意地悪な男のロマンティックラブ。
観覧車の中で幼馴染みの涼に告白した月香。返事の代わりに太腿に彼の手が伸びてきた!高まる鼓動。伝う汗。長い片想いの決着は?
・その他伝えたい事
サンプル
日本最大規模のテーマパーク「クレセントムーンスタジオ」。
そこでは、翌日八月一日の本格始動を前に、各界のVIP100名を招いたプレオープニングイベントが華やかにとり行われていた。
陽の落ちかけた園道を鼓笛隊と着ぐるみを着たマスコットキャラクターたちが練り歩き、ドレスアップした著名人たちが闊歩する。
そんな中、三上月香《みかみつきか》は、背伸びしたり、片手を額にかざしたりしながら、必死で一人の男性を探していた。
「……どうしよう。完璧に見失っちゃったかも……!」
テープカットを行う数人の中に、スーツ姿の幼馴染み、星野涼《ほしのりょう》を確認したのは、ほんの数分前だった。
勇んで駆け寄ろうとした時、ショーが始まり、スタジオのメインキャラクター、三日月頭のクレッセント君が目の前に飛び出してきた。
「綺麗なお嬢様。私と一曲踊っていただけませんか?」
「え? あの、いえ、ちょ、待って……!」
固辞したけれど許されず、しばらくパフォーマンスに付き合わされる。
やっと解放された時、涼はもういなくなっていた。
「クレッセント君のバカ……これで涼に会えなかったら許さないんだから」
恨み言を言いながら月香はスマホを取り出し、涼の番号をタップした。
(お願いだから、スルーしないで……!)
呼び出し音はすぐに終わり、ぷつり、と音声の繋がる音がする。
(やった……! 出てくれた……!)
『「はい」』
彼の声が一瞬二重になって耳に届いた。
「え……?」
振り向いた瞬間、真後ろのベンチにスマホを耳に当てた、見知った顔を見つけ、月香は息が止まりそうになった。
「涼……!」
「よう」
五年ぶりにあう幼なじみはにこりと笑って片手をあげた。
星野涼。二十五歳。
このテーマパークの総合デザインを担当した、ニューヨーク帰りのデザイナーである。
高校卒業後海外に渡り、一流企業のロゴやハイブランドブティックのフロアデザインを手がけて一躍話題になった、世界で最も注目されている日本人。
月香の長い片思いの相手だ。
「お前さ、なに着ぐるみに遊ばれてんだよ」
涼はスマホをしまうと立ち上がり、ゆっくりとこちらに歩いてきた。